米朝「仲介者」として真価問われる文大統領

~第3回南北首脳会談で金委員長に大幅な譲歩迫る?~

今回は、来週18日から開催される第3回南北首脳会談の行方を占いたいと思います。

ご存知のように、現在、核を巡って米朝関係が停滞しています。実効性のある非核化に向け、核開発の全容把握が欠かせないとする米国と、休戦状態にある朝鮮戦争の終戦宣言を優先すべきだと主張する北朝鮮との間には隔たりが大きく、交渉は入口で行き詰まってしまった状態です。

通常、非核化のプロセスは「凍結→申告→査察→検証→破棄」の順番になるわけですが、現段階では、その最初のステップである凍結が終わったという認識です。それ以降のプロセスとして、米国側の「申告・査察→終戦宣言」と、北朝鮮側の「終戦宣言→申告・査察」という優先順位を巡って溝が埋まらないというのが今の状況であるわけです。

ですから来週の南北首脳会談で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は金正恩(キム・ジョンウン)委員長に対し、非核化に向けた「大胆で予想を超えた譲歩」を求めるはずです。そして、その内容を持って、今度はトランプ大統領にも大胆な譲歩を求め、自身の公約である「終戦宣言の年内実現」に向けて弾みをつけたいところでしょう。

筆者の予想は、今回の文氏の訪朝をきっかけに、米朝関係や朝鮮半島情勢は一気に進んでいくというものです。

理由をいくつか上げますと、何よりも文氏と正恩氏との間には信頼関係があります。聞くところによると、文氏は正恩氏のことを「彼は国のトップに立って以来、約束した内容をすべて実行している」と言い、正恩氏は、文氏の政権初期の段階で信頼関係を築けたことをとても喜んでいるといいます。

次に、「終戦宣言と在韓米軍の動向とは全く関係がない」という正恩氏の発言です。これを額面通り受け取るかどうかは賛否が分かれるところですが、少なくとも文政権の中枢は正恩氏の言葉をそのごとく捉えているようです。実際、終戦宣言をしたからと言って、それがすぐに在韓米軍の撤退につながることは万が一にもありえません。

また、先日、ロシア・ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムでは、中国の習近平主席が「終戦宣言は米朝間の問題」とも発言しています。平和協定に全く関わらないというわけではないのでしょうが、この発言も文氏にとって追い風となっています。

課題があるとすれば、政権と官僚の対立でしょう。官僚から政権トップへの「ボトムアップ型」が従来の外交プロセスですが、現在の米朝は完全にトップダウンという仕組みになっています。心配なのは、トランプ氏と正恩氏がトップ同士で決定した内容を官僚が履行できない(しない)という状況が生じた場合です。

いずれにせよ、文氏と正恩氏、トランプ氏との間で信頼関係さえできれば、正恩氏の言葉のごとく「核が必要なくなる」という状況に発展する可能性が低くないと思われます。今の「トランプ・正恩・文」の関係が、核問題を解決できる千載一遇のチャンスかもしれません。

そのカギを握る文氏の来週の訪朝から目が離せません。

(H=ソウル在住)

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