「日米に溝」大手メディアの世論誘導に注意

トランプ氏「真珠湾」発言と日朝極秘会談報道の裏側

日米政府は安倍首相が自民党総裁選で3選された場合、トランプ米大統領との首脳会談を9月25日に米国で行う方向で最終調整に入ったようです。北朝鮮や日米通商問題について協議する見通しです。

一方、メディアからは「日米蜜月」に疑問を呈する論調も目立ち始めました。直近では、米ワシントン・ポスト紙(電子版)が8月28日、6月の日米首脳会談で、トランプ氏が安倍氏に対し「私は真珠湾を忘れない」と述べた上で、対日貿易赤字に強い不満を表明したと報じました。

また、同じポスト紙は米高官の情報として、日本と北朝鮮が今年7月、ベトナムで米国に知らせずに極秘裏に会談を進めたと報じました。日本側からは情報機関である内閣情報調査室トップ、北村滋内閣情報官が、北朝鮮側からは金聖恵(キム・ソンヘ)統一戦線策略室長がそれぞれ参加したと伝え、これに対し米側が不快感を示したと書いています。

日本の時事通信や韓国の中央日報などもポスト紙を引用する形で報道し、日米関係悪化を匂わせています。

しかし、本当に日米関係は悪化しているのでしょうか。

私たちは、こうしたメディアが今頃になって6月の会談を持ち出し、しかも「真珠湾」などの単語を強調して報じている点に注意を払う必要があると思います。さらに、直接関係のない7月の極秘会談をこれにつなげて報道する意図は何でしょうか。

ご存知のようにワシントン・ポストは米国を代表するリベラル系新聞で、事あるごとにトランプ政権と対立してきました。反トランプと言われる巨大企業アマゾンのCEO、ジェフ・ベゾス氏が同紙のオーナーであり、トランプ氏も「ベゾスがアマゾンのロビー活動拠点としてワシントン・ポストを利用している」と非難しています。

こうした対立がある一方で、トランプ氏のツイッターなどの発言をみても、今のところ「真珠湾」発言や日朝極秘会談に対する言及や批判的なコメントはありません。今回の件では、むしろメディア側が「真珠湾」「不快感」などの感情的なワードを、発した主体や経緯を曖昧にしたまま報道している点に疑問を抱かざるを得ません。

メディアが「日米関係に溝をつくる」という意図を持って情報操作をしているとすれば、これは大きく国益に反する行為であり、安全保障上の大問題です。こうした報道にそそのかされて両国関係にマイナス感情が醸成されることのないよう注意しなければなりません。

すでに今回の報道を受け、一部メディアでは「官邸は『真珠湾』発言の否定に躍起」といった報道も出ているようですが、事実であるなら困ったことです。読者である私たちも、しっかりとしたメディアリテラシーを身につけ、冷静な目で情勢を判断したいものです。(Q)

Weekly Voice by UPF

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