官民のノウハウ還流が社会課題解決を促すきっかけに

国家公務員の副業、政府が容認へ

政府はこのほど、成長戦略「未来投資戦略2018」に国家公務員の副業についての方向性を盛り込みました。具体的には、これまで原則禁止されていた国家公務員の副業を、特定非営利活動(NPO)法人など公益性の高い仕事に限って認める方針に改めることになりました。報酬を受け取ることも認められます。民間企業では人材流動化の視点から副業を容認する動きが広がっており、「働き方改革」を推進する政府としてもこれを後押ししたい考えです。

国家公務員法に基づいた「営利企業の役員就任」や「自営業の経営」は引き続き禁止されますが、社会的な人手不足の緩和につながることはもちろん、国家公務員の持つ政策・法律の知見が民間でも活用されることになります。特に、人材不足によって課題解決のための施策が滞りがちな地域の活性化にもつながると期待されます。

また、政府としても、公文書の書き換え問題などで“霞が関の論理”が国民の批判を受けるなか、役所の狭い世界に留まっていた公務員が社会の現場へと足を運んで汗をかく経験を積むことで、より現実に即した新しい発想の政策立案を期待できます。

地方自治体では、神戸市が昨年4月、「地域貢献応援制度」と銘打ち、職務外に報酬を得て地域活動に従事することを認める通達を出しました。同制度によって副業を認められた職員は現在、それぞれNPO法人と地域自治会で活動しているといいます。

今回の政府方針については、公務員が関わるNPOが政府から補助金を得るのに有利に働いたり、実質的な天下りにつながらないよう注意は必要です。しかし、社会課題が多様化、複雑化するなか、官民がそれぞれ持つ専門的なノウハウが還流するきっかけができる点は高く評価すべきでしょう。

今後長い目で見て、社会全体の生産性向上や人材の有効活用につながればと思います。

(S)

Weekly Voice by UPF

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