FB問題で注目される社会的責任投資

ミレニアル世代の台頭で急速に変化するお金の「見え方」「使い方」

英国の政治コンサルティング会社「ケンブリッジ・アナリティカ」が、フェイスブック(FB)の数千万人に及ぶユーザーデータを不正取得して米大統領選などに利用した疑惑から2カ月半あまり。FBのその後の対応にも批判が集まり、欧米や日本では顧客情報の保護の観点からFBページを削除する企業も出ました。

米国議会に召喚された同社のザッカーバーグCEOは、個人データの利用に関し適切な監視を怠ったことや、不正利用を防ぐ十分な対策を講じていなかったことを謝罪しましたが、問題発覚後、2週間ほどでFBの株価は20%近くの急落となり、900億ドル(約9.7兆円)以上の時価総額が失われました。

こうした不正問題は、これまで以上に企業の株価に大きな影響を与えるようになっています。要因の一つとされているのが「社会的責任(ESG)」投資の存在感が増しているためです。

ESG投資とは、環境(Environmental)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取って、これらに配慮する企業を選んで行う投資のことです。近年、日本でも広がりを見せており、個人投資家向けの投資商品も増えたことで、投資に関心のなかった層からも注目されています。データ流出騒ぎが起きてから、FBは複数の「ESG」評価機関から格付けを下げられ、ESGを投資基準に組み込む世界の機関投資家から敬遠されました。

背景には労働人口に占める割合が大きくなったミレニアル世代(※)の意識や消費行動が大きく影響していると言われます。米大手投資会社の調査では、ミレニアル世代はその他の世代に比べ、環境や社会的課題に取り組む企業への投資意欲が倍近く高いとの結果が出ています。

音楽、動画、ゲーム、マンガなどさまざまなものが無料で手に入る現代の子供たちを、博報堂生活総合研究所は「タダ・ネイティブ」と名付けました。彼らは「費用も、手間も、労力もかけずに情報やコンテンツが自由に利用できた世代。“タダが当たり前”という感覚の持ち主」(同研究所)で、いわばお金を持たない、使わない世代だといいます。一方で、コト(経験)やトキ(その時間・場所)を重視して、自分の価値観や嗜好にあったイベントや作品、作家を応援するためにはお金をかけたい、と考える世代です。

キャッシュレス化から仮想通貨、さらにはベーシックインカムの議論まで、社会の中での「お金の見え方」は急速に変化しています。こうした世代ではスマホの普及などテクノロジーの進歩で、手段としてのお金が多様化し、相対的に価値が低下しており、愛情や共感、信頼などの精神的満足感がお金と同等以上に価値を持つとの指摘もあります。

経済システムが、社会全体の持続性と個人の幸福感をともに高めようとする人々を主体として変化していくとすれば、それは望ましいことだと思います。ただ、それが資本主義の次の変化なのかどうかは、まだ議論の余地があります。(S)

ミレニアル世代〜1980年代から2000年初頭までに生まれ、2000年代に成人あるいは社会人になる、現在18歳から35歳くらいまでの人たちを指す。インターネットが普及し、急速にグローバル化が進んだ世界で育った世代。

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