米国が北朝鮮との首脳会談中止を通告

敵対的言動と小細工で墓穴をほった北朝鮮、面目失った韓国

米トランプ大統領が米朝首脳会談の中止を表明したことで、韓国の青瓦台(大統領府)やメディア、研究者らの間で失意が広がっています。筆者もトランプ大統領の発表の直前まで、専門家などから「来月12日に米朝首脳会談はほぼ確実」との意見を聞いていましたので、さすがに驚きました。前回のコラムでは、米朝首脳会談は通常とは違いトップの属人的性格が強いため予測不可能だと書きましたが、それ以上の不測の事態になったと言えます。

朝鮮半島を中心に各国の利害が交錯しています。今回の一連の流れではっきりしたことと今後の展望を国別に整理しておきましょう。

まずは韓国です。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の狙いはあくまでも戦争回避です。そのためには、制裁より対話を重視。そのプロセスの中で「非核化が実現すればいい」というスタンスでした。今後も、戦争回避に向けて北朝鮮との対話を重視していくと思われます。その一方で、「北朝鮮に非核化の意思があると必要以上の期待を抱かせた」として文大統領が、トランプ大統領から米朝首脳会談中止のスケープゴートにされる恐れも出てきました。

会談中止で最も割を食ったのが北朝鮮でしょう。北朝鮮には「米国から体制保証を取り付ける」という意図がありました。4月27日の南北首脳会談まではスムーズにことが運んだのですが、中国という後ろ盾を得て安心してしまったのか、いつもの敵対的な表現が目立ったり、北東部の豊渓里(プンゲリ)にある核実験場の爆破に、当初予定していた専門家を招かなかったりするなど小細工に走りすぎてしまったようです。

北朝鮮は会談の実現に向けて、しばらくはおとなしくすると思いきや、さっそく北朝鮮の金桂官(キム・ゲグァン)第1外務次官が首脳会談中止について談話で、「私たちは常におおらかで開かれた心で、米国側に時間と機会を与える用意がある」と相変わらずの「上から目線」ぶり。これでは、会談実現は難しいと言わざるをえません。

有利な立場にあるのが米国です。北朝鮮が完全な非核化に応じるまで、圧力と制裁の強化を維持する構えです。「Bad Deal(悪い取引)よりもNo Deal(取引しない)のほうがマシ」とするトランプ氏の立場も国内で支持されるでしょう。

一方、日本は慎重な外交姿勢が評価される形になりました。今後しばらくはトランプ氏の制裁路線を支持していけばいい立場です。文氏はトランプ氏の信頼を失ったその一方で、「制裁と圧力を重視したシンゾーはやっぱり正しかった」となるのではないでしょうか。

最後に中国です。今回の会談中止を通じて、改めて中国が朝鮮半島の現状維持を望んでいることが明確になりました。今後も、陰に陽に半島情勢に関与してくるでしょう。それはまた、中国が本気にならなければ、北朝鮮の核問題は解決しないということを意味するのです。

(H=ソウル在住)

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