米朝首脳会談、北は「段階的非核化」提示か

型破りな2人の指導者による会談は予測不能?

米朝首脳会談が6月12日にシンガポールで開催されることになりました。具体的な核放棄措置や期限で合意できるかが焦点となります。今回は、その米朝会談の行方を占ってみたいと思います。

専門家の多くは予測が困難だと言っています。国際情勢のゆくえというのは、過去にあった類似の事例を分析することで、ある程度予測することができるのですが、今回ばかりはそうした通常のアプローチが通じないからです。それほど米朝会談は、トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長という2人の指導者の属人的な要素が極めて強い異例の会談だといえます。

そんな異例の会談ですが、大まかに4つのパターンが考えられます。

最初のシナリオは、トランプ氏が求める完全即時の非核化に対し、正恩氏に応じる意思が強く、その方法や期限について合意に至るというものです。最も望ましいとされるシナリオですが、逆に可能性は最も低いと思われます。

2番目のシナリオは、正恩氏に完全非核化の意思がなく、トランプ氏のほうは北の完全な非核化に対して妥協しないケースです。この場合、トランプ氏が会談の途中で席を離れる可能性が非常に高いといえます。会談の決裂後に朝鮮半島の緊張が一気に高まりそうです。

3番目のシナリオは、正恩氏に非核化の意思があるものの、段階的な非核化を求め、それに応じて見返りを強く求める一方、トランプ氏は即時非核化を譲らないのに加えて、人権問題を持ち出す場合です。この場合も決裂の可能性が高くなります。

そして最後は、正恩氏に完全非核化の意思はないものの、トランプ氏が目に見える実績を求めて妥協するシナリオです。例えば、北朝鮮のミサイルについて、米国本土に届くICBMは放棄させるものの、日本や韓国が射程距離に入る中距離ミサイルの保有は認めるなどの場合で、これは日本にとっては最悪のシナリオになります。しかし、トランプ氏は北朝鮮とは取引しないと言っていることから、4番目のシナリオの可能性も低いでしょう。

筆者は、少なくともトランプ氏が会談の途中で席を立つ可能性は低いと考えています。なぜなら、正恩氏は北朝鮮の経済発展を真剣に考えているふしがあるとみているからです。正恩氏は経済制裁の解除が何よりも重要であることを理解しています。

韓国メディアによると、正恩氏は4月27日に開催された南北首脳会談で、ベトナム式の経済発展を目指したいとの考えを文在寅(ムン・ジェイン)大統領に伝えたようです。ベトナムは経済開放に転じた1986年を起点に、共産主義体制を維持しながら高度成長を続けています。正恩氏は、外資に対する規制が少なく、米国との関係が緊密な点で、中国式の「改革・開放」よりもベトナムの「ドイモイ(刷新)政策」に魅力に感じているもようです。

そうなると、北朝鮮の段階的な非核化の可能性が高いと言えます。中国、ロシアもこれを支持しており、韓国も北朝鮮に一定の理解をしていることから、最終的には時間をかけて進めるしかないのではないでしょうか。経済解除はその段階に応じて解除されていきそうです。完全非核化にかかる時間は、正恩氏のコミットメント、そしてトランプ氏と信頼関係にかかっているといえるでしょう。(H=ソウル在住)

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