首脳会談で「非核化」は建て前? 「連邦制」模索する南北

米韓同盟より「民族の同一性」優先する文政権

南北首脳会談の開催が4月27日に決定しました。韓国側の説明を要約すると、「北朝鮮は非核化や米国との対話の意向を持っている。南北首脳会談の条件が整った」といったところでしょう。しかし、果たして韓国はどこまで北朝鮮の非核化にこだわっているのでしょうか? 残念ながら、非核化は建て前でしかないというのが筆者の見立てです。

これまでのコラムでも説明してきましたが、文政権の優先事項は非核化よりも戦争回避です。何がなんでも核放棄を約束させ、緊張緩和のための対話を始めるという強硬な姿勢というよりは、これ以上状況を悪化させないため、まずは対話を始めようという立場です。

極端な話をすれば、仮に非核化に向けた交渉が失敗したとしても、文政権下の韓国は南北の統一という究極的な目標に向けて北との対話を続けていくでしょう。それは北も同じです。そのためにも、どちらかが甚大な被害を受けるような戦争は避けたいというのが本音ではないでしょうか。北朝鮮も無傷のソウルを手に入れたいはずです。

それでは、板門店に来る金正恩氏は、文氏に何を提案するのでしょうか。

「南北はまもなく連邦制になる」。中国側に出てきている北朝鮮の貿易商たちが口々にこう話しているようです。

北朝鮮が思い描いているのは「完全な統一」ではなく、南北を「連邦」として緩やかにつなぐ「連邦制」による統一です。

この考え方は、1960年代から北朝鮮が主張してきました。

代表的なものは「高麗連邦共和国」です。「自主・平和・民族大団結による統一」というスローガンのもと、一民族・一国家・二制度・二政府の下で連邦制による統一を主張しました。中国と香港の関係に近いものです。

しかし、「高麗連邦」案には、朝鮮戦争(1950〜53年)で結ばれた休戦協定の平和協定への転換と在韓米軍の撤収など、韓国側が簡単に飲めない条件もついています。さすがの文政権もジレンマに陥るかもしれません。

しかし、今の青瓦台(大統領府)のスタッフの半分以上が学生運動経験者であり、北朝鮮に対して強いシンパシーを感じていることや、保守勢力が壊滅的な打撃を受けている点などを考慮すれば、文政権が米韓同盟よりも「民族同一性の確保」を優先していく可能性は捨てきれません。(H=ソウル在住)

Weekly Voice by UPF

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