予測不可能な時代を生き抜くための教育とは

小学校「プログラミング」必修と注目集めるSTEM/STEAM教育

いま、教育界で注目を集める「STEM(ステム)教育/STEAM(スティーム)教育」。米国で1990年代に提唱されたコンセプトが、日本でも広く浸透してきました。

STEMとは、米国立科学財団(National Science Foundation=NSF)が21世紀の社会で子供に身に着けさせておくべき力として、90年代に発表したもので、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字を取ったものです。2013年には国家戦略となり、K-12(幼稚園から高校までの12年間)のカリキュラムもこれに沿ったものになっています。

また、STEAMは、STEMに芸術(Art+デザイン)を加えたものです。革新的な取り組みや課題解決を行うためには、科学だけではなく、人間の感情や感覚についても学ぶべきという考えに基づいています。高度な技術開発と、未だ不確実な要素を多くもつ人間についての研究成果の融合が、今後ますます必要とされていくでしょう。

近年の技術革新は「第4次産業革命」と呼ばれるほどめざましく、身の回りにあるモノすべてにインターネットがつながる「IoT(internet of things)」、仮想空間を体験できる「VR(virtual reality)」などの普及が進むなか、社会のあらゆるシステムがビッグデータやAI、ロボットを前提としたものに変化していくとみられています。

野村総合研究所は15年、英・オックスフォード大学との共同研究で、国内601種類の職種ごとの10〜20年後を予測した結果、日本の労働人口の49%が、AIやロボットで代替できる可能性が高いとの結論を発表しました。

こうした大きな時代の流れのなかで、日本ではAIやテクノロジー進化を生み出す理数系人材や人の感性に訴える芸術系人材は圧倒的に不足しています。AIに代替されにくいSTEM/STEAM教育を施された人材育成は急務といえます。

すでに米国やシンガポールなどが国家主導でSTEM/STEAM教育を進めてきたのに比べると、日本はこれまで民間レベルでの取り組みに留まっていました。しかし日本でも、小学校で20年の次期学習指導要領からプログラミング教育が完全実施されることになりました。

20年から実施される新学習指導要領では、

 ・小学校で算数や理科、総合的な学習の時間など、どこかでプログラミング教育を体験させる

 ・高校で、理科と数学にまたがる選択科目「理数探究」を新設し、情報は従来の2科目選択を共通必履修の「情報I」に改め、全員にプログラミングやネットワーク、データベースの仕組みを学ばせる

などの改訂が行われました。

今年4月1日からは、小中学校で移行措置が始まっており、文部科学省、総務省、経済産業省の3省が連携して運営する「未来の学びコンソーシアム」は3月30日、Webサイトを「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル Powered by未来の学びコンソーシアム」にリニューアルオープンしました。

STEM/STEAM教育というと、理工系に進む人にしか関係ないのではないかと思いがちですが、大切なことは文系・理系に限らず、これからの時代が多くの分野で急速な技術革新を前提にしている点であり、そうした技術に使われるのではなく、それを使いこなす能力が求められることでしょう。

予測困難な時代となり、課題や正解が比較的明確であった時代の教育では対応できなくなっている現実に目を向けながら、その都度学び、他者と共生しあいながら、新しい価値を生み出していくための能力を育むための教育が議論されなければなりません。(S)

Weekly Voice by UPF

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