五輪外交は「半分成功 半分失敗」

ポスト平昌、対北朝鮮で真価問われる文政権

平昌冬季五輪が閉幕しました。北朝鮮はもちろん、韓国や米国、日本を含めて各国の思惑が交錯した、かつてないほど政治色の濃い大会となりました。今回のコラムは、韓国の立場から大会の意義を振り返り、今後の見通しを立てていきたいと思います。

女子アイスホッケーの南北合同チームが結成されるなど、北朝鮮との融和ムードの演出に力を入れたいわゆる「五輪外交」について、韓国の学者や専門家の多くは「半分成功した」と総括しています。「成功」の理由は、①北朝鮮からの脅威なしに大会を無事に終えることができた②北朝鮮を対話の場に連れ出した③米国の軍事オプション行使の時期を遅らせることができた――という点に要約することができるでしょう。

もともと文政権は対北朝鮮戦略として、「先に対話、後に非核化」を公言していました。朝鮮戦争で大きな犠牲をはらった韓国では、「もう二度と戦争を経験したくない」との思いがとても強く、「戦争回避という意味で、文政権は北朝鮮問題をよく管理している」と評価する声も聞こえてきます。もちろん、北朝鮮が突然、融和的な姿勢を見せてきたのは、「米国の制裁と圧迫から逃れるための出口戦略」であったことは明確なのですが。

逆に、専門家らが「失敗」と考えている理由は、北朝鮮が米国との対話に応じる意思があると確認したものの、その前提となる「非核化」を引き出せなかった点にあります。

それでも、文政権はとりあえず米国に対し「南北対話はうまくいっている。今後の対話次第では非核化も可能だ」というメッセージを送ることができました。これに対し、米トランプ政権も現時点で多少の期待は抱いているようですので、五輪外交について「半分は成功した」と考えるのは妥当なところでしょう。

問題は「ポスト平昌」です。18日に閉幕するパラリンピック後に予定されている米韓軍事演習について、文政権はすでに延期を考えています。今の対話の雰囲気を壊したくないのでしょう。軍事演習を実施すれば、北朝鮮が核・ミサイル実験に踏み切る口実を与えることになります。

今回の五輪外交で明らかになったことは、文政権が非核化よりも戦争回避を優先しているということです。北朝鮮が非核化に向けた対話に応じるまで「最大限の圧力」を続ける考えの米トランプ政権とは大きな溝があります。トランプ政権が軍事オプションをちらつかせばちらつかせるほど、文政権は米国に対して疑心暗鬼となり、ますます北朝鮮との対話に前のめりになる可能性が出てくる恐れがあります。

あるいは文政権は今後、非核化を目指す米国と核兵器を放棄する意思のない北朝鮮とのはざまでジレンマに陥る可能性も出てきます。韓国には、もともと北朝鮮の核問題を解決できる力がないというのがその理由です。

最悪なのは、結局、文政権の対話路線で非核化を実現することができなかったばかりか、北朝鮮に核・ミサイル開発の時間だけを与えてしまったというシナリオです。そうなれば、文政権は最初から北朝鮮の核問題に口出しするべきではなかったということになります。

朝鮮半島問題で何が何でも主導権を握りたい文政権。真価が問われるのはまさにこれからです。

(H=ソウル在住)

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