「内向き」化進む文政権

「積弊の清算」叫ぶあまり内政・外交両面で矛盾が表面化

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の「内向き」化が進んでいます。内政と外交両面で徐々に矛盾を露呈し始めています。それは結局、「積弊の清算」を掲げて当選したがゆえに、極端なポピュリズム(大衆迎合)に走らざるを得ない文政権の宿痾(しゅくあ)といえるでしょう。

文大統領は10日にソウルの青瓦台(大統領府)で行った記者会見で、「国民の日常生活を守り、少しでも良くしていく」と新年の目標を表明。今年、1人当たりの国民所得が3万ドルに達すると見込まれている点について言及し、「生活の質が向上しなければ意味がない」と強調しました。

具体的には、最低賃金の引き上げと、政府や公共機関で働く非正規職のゼロ化をその柱に据えました。韓国では今年、最低賃金が前年比で初めて2桁上昇しました(16.4%上昇)。一方ではこれを受け、早くも一部の中小企業や小規模事業者では、従業員を減らしたり福利厚生を縮小する動きがみられるなどの「副作用」が出ています。

このいわゆる雇用の質の向上を通じた「所得主導による経済成長」に対して、従来からの「輸出主導」「投資主導」と違う新たな成長サイクルが軟着陸できるかについては、非常に多くのエコノミストが疑問を呈しています。実際、文政権は2桁増を維持し、任期中に1万ウォンまで引き上げるという公約を掲げていますが、来年以降は引き上げ速度の調整を迫られそうです。

日本との慰安婦問題では、国際的な合意よりも国内世論が優先されました。さらに、安倍政権と日本国民の反応が明確に予測できていたにもかかわらず、前政権の間違いを指摘するためにわざわざ合意の問題点を調査して公開するタスクフォースチームを発足させたため、日韓関係の悪化という思わぬ結果を招いてしまいました。

一方、北朝鮮との対話では、対話自体は良いことですが、国民と国際社会に対して、あたかも韓国に北朝鮮の核問題を解決できる力があるかのように見せる演技をしている点が問題です。北朝鮮の核兵器は、米国に対する抑止力として開発されたものであって、韓国は核問題の当事者ではありません。そのため、南北高位級会談で韓国側が非核化問題を提起すると、北朝鮮側はこれを拒否しました。北朝鮮側としては、核問題を韓国と話し合っても意味がありません。とはいえ、米国が韓国を飛び越えて、北朝鮮と直接交渉してしまうと韓国の面目がつぶれてしまいます。もしかすると、韓国は今後、米国が北朝鮮と直接協議しないようにいろいろと「時間稼ぎ」をしてくるかもしれません。

前大統領に抗議し、退陣を迫る「ろうそく集会」の意義を強調し「積弊の清算」を叫ぶほど、政策面でつじつまが合わなくなってきているのが今の文政権です。私たちは文政権の今後の動向を厳しい目で鋭意注視していく必要があるでしょう。(H=ソウル在住)

Weekly Voice by UPF

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