待ったなしの少子化対策 国民全体で問題意識を

「2兆円政策パッケージ」を閣議決定

政府は「人づくり革命」の実現に向けた2兆円規模の「経済政策パッケージ」を本日8日、閣議決定しました。「新しい経済政策パッケージ」と題された案では、①幼児教育の無償化②高等教育の無償化③保育・介護人材の処遇改善――などを主要項目に掲げました。

中でも、幼児教育や保育の費用については約8千億円を充て、認可保育所に通う3〜5歳児は全て無償とする方針です(認可外保育所や延長保育などをどこまで支援するかは、来夏まで結論を先送り)。また、賃上げを通じて介護人材と保育士の待遇を改善するほか、2020年度末までに待機児童解消に向けた32万人分の保育の受け皿整備も行う予定です。

安倍首相は先の衆院選で、少子化を北朝鮮問題と並ぶ「国難」と位置付け、消費増税による財源の使途を見直して対策に充てることを旗印に掲げました。それまでの自民、公明、旧民主の3党合意に基づく社会保障・税一体改革が、団塊世代が高齢化することへの対応を念頭に置いたものだったことから考えると、大きく形を変えたものといえます。財源の使途変更を伴う安倍氏の方針発表に、当初は自民党内部や厚労省からも戸惑いの声が上がりました。

しかし、深刻な少子化を克服していくために、子育て世代が抱える不安を解消するという方向性は間違っていません。高齢者向けの社会保障経費を合理化して現役・子育て世代に振り向けることは、一方の財政再建の視点からも当然の結論でしょう。

いうまでもなく、低出生率の原因は未婚率の上昇と結婚後に持つ子供の数が少ないことにあります。

待ったなしの少子化問題。これを経済や雇用環境の厳しさにのみ責任転嫁する時は過ぎました。特に地方における少子化とそれに伴う人口減少は、地域社会の活力低下といったレベルを超え、もはや生き残るか消滅するかの存立基盤に関わる問題となっています。とはいえ、その対策を地方に任せきりにすることはできません。ある地域の人口が他の地域に移動して出生率が上昇しても、移動元の地域の人口が減少し出生率が下がるなら、それは単なる「ゼロサム・ゲーム」に過ぎないからです。財政の総合的・効率的な支出の観点からも、その第一の責任は政府(国)にあるのです。

結婚や出産を政策として押し付けることはできませんし、そのような「暗黙のプレッシャー」が若者世代、とくに女性に過度の負担を強いたり差別につながってはいけません。しかし同時に、少子化対策が家庭と社会の基盤を維持、強化し、さらに持続させるための最優先の政策課題であり、婚姻制度や家族機能まで包含した家族制度の中心であるという点は、立場の違いを越えて国民全体で共有しなければなりません。

(S)

Weekly Voice by UPF

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