自傷行為急増の背景にSNS?

米国で10~14歳女子の自傷行為が3倍に

「米国医師会雑誌(JAMA)」で発表された研究によると、米国の10~14歳の少女の自傷行為が2009年以降、急増しています。2009年の10万人当たり109.8人から2015年は317.7人と約3倍に、年率では18.8%の増加となります。この数字は15~19歳の増加率7.2%や20~24歳の2%と比較しても突出しています。一方、男子についてはそれほど目立った変化はありません。

「自己愛過剰社会」などの著書で知られるジーン・M・トゥエンギ博士(サンディエゴ州立大学心理学教授)は、スマホとSNSの普及が原因ではないかと指摘しました。特に男子と比べて女子の伸びが突出した理由について、女子のほうが「外見」や「社会的評価」に敏感なことを挙げています。SNSは、まさにこれらの「展示場」であり、まだ自己が確立していない年少の女子たちは「いいね」やフォロワーの数に一喜一憂してしまうのです。

現代の子供たちは男女問わずスマホに向き合う時間が増えていますが、男の子はゲームに興じ、女の子はSNSにより多くの時間を費やすことがわかっています。そしてメンタルの状態に、より深刻な影響を与えるのは後者です。

SNSについては遠距離の親族、友人との交流など便利さもある一方で、いじめのツールやフェイクニュースの温床になるなど負の側面も目立つようになりました。座間市の悲惨な事件でもTwitterが容疑者と被害者の接点になっています。

もし本当に10代前半女子の自傷行為の急増がSNSと関連しているなら、お酒や車の運転に年齢制限があるように、SNSの年齢制限も真剣に検討されるべきかもしれません。いずれにせよ、思春期の繊細な感受性を、めまぐるしく変わるSNS上の評価に晒すことは大変なリスクをはらんでいます。彼女たちの自我の安定、成長にとって必要なのは、移ろいやすいSNS上の関係ではなく、家族など、自らを変わらず愛し勇気づけてくれる身近な人々との関係です。

子供たちがスマホやSNSに引き付けられたとしても、それ以上に、身近な人たちとの関係が深ければ、それほど大きな問題になることはないでしょう。こうした問題と向き合うことを通して、改めて子供の成長に対する大人たちの責任を見つめ直す必要があります。(O)

Weekly Voice by UPF

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