「自由で開かれたインド太平洋戦略」で中国の膨張食い止めよ

トランプ氏来日で結束アピール 日本が提唱の外交戦略、米側が踏襲を表明

21の国・地域でつくるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議がきょう10日、ベトナムのダナンで開幕しました。安倍晋三首相は9日に現地入りし、各国首脳と個別会談を通じ北朝鮮の包囲網づくりで積極外交を展開しています。

安倍氏はAPECとそれに続くフィリピンでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議の期間中に、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、李克強首相と個別に会談する方向です。両会議には、日韓中を歴訪したトランプ米大統領も出席。安倍氏は6日の日米首脳会談で北朝鮮に最大限の圧力を加える方針で一致したことを踏まえ、トランプ氏と連携して、参加国の首脳に圧力強化の必要性を訴えたい考えです。

トランプ氏が今回のアジア歴訪で、日本を最初の訪問国に選び、両国の結束を内外に示したことは、アジア太平洋地域の安定と発展にとって大きな意義があったといえるでしょう。特に、日米の結束アピールは対北のみならず、ある意味、それ以上に中国に対する強いけん制になりました。

日米両首脳は今回、両国共通の外交指針として「自由で開かれたインド太平洋戦略」を確認しました。同戦略は、アジアからアフリカにかけての地域を「自由と法の支配、市場経済を重んじる場」と位置づけ、この地域の連携を強化して域内の安定と繁栄につなげる考え方で、昨年8月にケニアで開かれたアフリカ開発会議(TICAD VI)で安倍氏が発表したものです。

これまでトランプ政権の内向き志向が懸念されていたことを考えると、米国がこの段階で日本の外交戦略を踏襲したことは、安倍政権の大きな成果といってよいでしょう。

メディアや専門家の中には、インド太平洋戦略を推し進めることで「中国を刺激し、関係改善に支障になる」との懸念もあります。

しかし、現在の中国はここ10年の間にはるかに強力で、自信に満ちています。もはや日本には、中国への「遠慮」から、本来追求すべき国益の確保に消極的でいられる余裕はないのです。それは中国の政治的膨張と海洋権益拡大の動きをますます加速化させることになるでしょう。

共産党大会を終えたばかりの習主席の権力が劇的に拡大している様子は明らかです。習氏は今世紀半ばまでに、高まる経済力や軍事力、ソフトパワーを背景に、一貫した戦略的台頭を推進しようとしています。中国共産党は10月24日に閉幕した党大会で、党規約に「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」を盛り込むことを決め、外交面については「中国の特色ある大国外交により新型の国際関係を構築」を柱の1つに掲げました。

日本がこうした中国に対してとるべき道は、「戦略的互恵関係」の枠組みで日本が積極的に中国経済に関与しながら、中国を欧米ルールに従う市場経済圏として参加させることを狙う一方、日米印豪を中心にとした価値観を共有する国と地域が、持続可能な政治経済基盤を構築していくことで中国に向き合う交渉力を高め、最終的には中国に略奪的な膨張戦略を放棄させることです。

そのためには、この「自由で開かれたインド太平洋戦略」を掛け声だけで終わらせず、日米のより具体的で実効性のある協力関係を強めながら、韓国も含めた日米韓の同盟関係を盤石にすることが欠かせません。(S)

Weekly Voice by UPF

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