サムスンで世代交代が加速 快進撃の功労者、副会長が退任発表

過去最高益でも緩めぬ「非常事態」経営

韓国・サムスン電子で世代交代が加速しています。グループを事実上率いる李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が長期の不在の中、経営をリードしてきた権五鉉(クォン・オヒョン)副会長が先月中旬、電撃的な退任発表をしました。2017年7〜9月期の業績が四半期ベースで過去最高を更新したと発表した直後だけに、韓国メディアでも驚きを持って受け止められました。権副会長は、半導体とディスプレーといったいわゆる部品部門のトップ。今のサムスン電子の収益のほとんどを半導体事業が稼いでいることを考えると、サムスン快進撃の最大の功労者の一人と言えます。聞けば、社内の広報担当者も報道資料発表直前まで、権氏の退任を知らされていなかったようです。

しかし、サムスン電子は李健煕(イ・ゴンヒ)会長が経営の陣頭に立っていた時から、業績が好調な時にこそ社員に危機意識を受け付けることで組織を引き締めてきました。

同社では、李会長の経営哲学をまとめた「知行33訓 知って、行動して、人を使って、教えて、評価せよ」という冊子が全役員に配布されます。初版は1997年。第2版は2010年です。李会長は、1訓目に経営者の心得として「危機意識」を強調しています。役員には絶えず、「今どこにいて、どこに行くのか、きちんと進んでいるか?」と問うているわけです。2訓目が「未来洞察」です。5年後、10年後を見据えなければならないという内容です。

権副会長は退任発表の報道資料で、過去最大の業績を挙げたことについて「過去の投資によるものにすぎない。未来の成長産業は育成できなかった」と敗戦の将のような弁を述べています。

李副会長は、拘置所の中から人事を通じてグループ内の引き締めを図りました。父親にならい、好業績のときこそ好機と思ったに違いありません。

「サムスン電子で働くのと、人間として幸せな人生を送るのはまったく違う問題」という言葉をよく聞きます。しかし、すくなくとも、このような「非常事態経営」を維持している限りは、サムスン電子の成長は続きそうです。(H=ソウル在住)

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