韓国でも「フェイクニュース」にご用心

社会揺るがす危険なうわさやスキャンダルを流す「チラシ」

韓国に「チラシ」(찌라시)と呼ばれる情報誌があります。一枚刷りの広告媒体を示す日本語が語源ですが、韓国の「チラシ」は信ぴょう性の低い薄い情報やスキャンダルを流す媒体を指します。新聞に載らない裏情報が多く、企業や個人の名誉毀損の問題のほか、政治工作や株価操作の手段などにも使われます。少し前の話ですが、闘病中のサムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長の死亡説が証券街を駆けめぐるなど、株価にも影響を与える内容もあるため、企業側は対応に頭を悩ませています。

チラシは、政界や国家機関、企業、マスコミなどの内部の人間が定期的に集まって情報交換を行い、専門業者が印刷物にして個人や企業に「カカオトーク」などのSNSを通じてPDFファイルなどで配布します。筆者もチラシを手にしたことがあります。経済や政治・社会、金融などの項目に分かれており、100ページを超える日もありました。

虚偽の内容のチラシを制作・配布したり、裏を取らずにチラシの内容を記事にしたりすると、情報通信網法の名誉毀損罪が適応されます。警察に出頭を命じられる記者は後を絶たないと聞きます。場合によっては、7年以下の懲役、10年以下の資格停止または5000万ウォン以下の罰金が科されます。

◇企業の「情報マン」とは

朴槿恵(パク・クネ)前大統領元側近の人事介入疑惑の発端となった青瓦台(大統領府)の内部文書を、ハンファS&Cの対官業務(官公庁関連の業務)担当の社員がソウル警察庁から持ち出していたことが明らかになり、企業内で情報や対官業務を担当するいわゆる“情報マン”に注目が集まったことがありました。

対官業務は公務員らと会って必要な情報を交換し、政府との窓口の役割をするため、大きな意味では情報関連の業務に含まれます。事業に関連した立法情報など国会や官公庁の情報のほか、ライバル社の動向、オーナーに関するうわさなども収集し、報告するのが任務です。SKテレコムやKTなどの大手通信社では、通信規制に関する業務を行う政府の放送通信委員会などを担当するチームだけで50人超を抱えていると言われます。

情報マンにはコミュニケーション能力や信用、幅広い人脈が求められ、情報収集のための飲み会参加も多いため、体力も必須とされます。大企業の関係者は韓国メディアの取材で「情報を扱う仕事は簡単ではない。10年以上情報業務を続けている人は、該当業界では、ある程度実力を認められているとみてもいい」と話しています。

今回は韓国の情報社会について書いてみました。ネットにも韓国に関するさまざまな情報が溢れていますが、私たちも情報リテラシーを高める努力を決して怠ってはなりません。(H=ソウル在住)

Weekly Voice by UPF

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