イメージ先行の野党躍進は「国難」日本を危うくする

衆院解散 民進解党、「希望の党」合流で構図が一変

安倍首相が昨日28日、臨時国会の冒頭で衆院解散に踏み切り、10月10日公示、22日投開票の日程で事実上の選挙戦に突入しました。首相自ら「与党で過半数」の233議席を勝敗ラインと位置づけ、「過半数割れなら私も辞任」と、不退転の覚悟で臨む姿勢を明らかにしました。当初は圧勝予想もあった与党側ですが、小池百合子東京都知事が代表になった「希望の党」の誕生と、民進党による希望の党への事実上の合流で選挙の構図が一変した形です。

希望の党は27日に結党の記者会見を行い、綱領で「寛容な改革保守政党」を掲げましたが、具体的な政策には踏み込みませんでした。理念や政策が異なる政党出身者が集まった「寄り合い」政党だけに、今後発表する選挙公約でどこまで政策内容を詰めきれるかは不透明です。

また、民進党は28日の党両院議員総会で、前原誠司代表が提案した希望の党との合流を正式決定しました。民進党所属の衆院議員は基本的に離党して新党に参加する形式となります。参院側も希望の党に加わる方向で、前原氏は否定していますが、民進党の事実上の解党です。前原氏は同党の議員を前に「どんな手段を使ってでも、どんな知恵を絞ってでも安倍政権を終わらせよう」「名を捨てて実を取る」と表明し、理解を求めました。

報道によると、前原氏は野党再編に向けて、党内の反発覚悟で自由党の小沢一郎代表とも入念に会談を重ねてきました。小沢氏はかねて、野党が連立政権を前提に選挙協力する「オリーブの木」構想を主張していて、今回もこれを参考に民進、希望、自由の3党で政治団体を設立する案もあったようです。

小沢氏の着想はもともと、イタリアの中道政党と左派政党が連合し、政権を担う目的で立ち上げられた、その名も「オリーブの木」がもとになっています。1996年4月の総選挙でオリーブの木は共産主義再建党と結んで勝利し、ロマノ・プロディ氏を首相に据えました。一つの政党ではない、ゆるやかな連合体で選挙を戦い、政権を担うというものでした。

しかし、現在の政党民主主義の政治システムの中で、こうした政党連携は結局一時しのぎにすぎません。前述のイタリアでさえ、オリーブの木の政権は短命でした。そこで、与党に立ち向かえるだけのしっかりとした政策と方向性をもった野党が必要となるのですが、「寄り合い所帯」の希望の党にどれだけ期待できるでしょうか。

希望の党側もこうした懸念を踏まえるとともに、特に93年7月の衆院選後に成立した7党1会派による細川護煕首相率いる「非自民連立政権」の成立とその後の経緯を意識して、「民進党と丸ごと合流することはない」(小池氏)とし、理念や政策が一致しない議員の合流は拒む構えです。特に、原発ゼロや消費税増税凍結を訴えて自民党との差別化を図る一方、憲法改正への積極姿勢や現実的な安全保障政策を掲げて民進党などとの違いを打ち出しており、菅直人元首相、野田佳彦前首相の2人の公認申請は拒否されるとの見通しを明らかにしています。

それでも、希望の党として、消費税増税凍結による財政健全化や社会保障制度の悪化を抑える代案は示しておらず、安倍首相の「9条改正」を否定する一方、自衛隊を軍と明記する憲法草案をまとめた中山恭子参院議員(「日本のこころ」元代表)を結党メンバーに抱えるなど、同党の姿勢に一貫性は感じられず、「有権者受けする」主張が羅列されていると言わざるを得ません。

一連の動きに対し、安倍首相は「選挙のために集まり看板を変えた政党に、日本の安全、未来を任せるわけにはいかない。そこから生まれるものは混乱でしかなく決して希望は生まれない」と批判しました。安倍首相が野党再編の動きに警戒感を強めている様子がうかがえる一方、急場でこしらえた新党には特定の政策思想がなく、イメージ先行の野党の躍進は、かえって政治停滞を招くだけだとの危機感も滲んでいます。

特に、緊迫する北朝鮮情勢は、現在の日本が抱える大きな国難の一つと言えるでしょう。烏合(うごう)の野党が政権をとれば、北朝鮮対応も流動的になりかねません。有権者は、しっかりした政策と政権の安定性こそ重要であると肝に銘じながら選挙に臨みたいものです。(S)

Weekly Voice by UPF

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