北朝鮮のミサイル発射で現実的対応を迫られる韓国

「北朝鮮の『善意』に依存する政策だけでは限界」と専門家

北朝鮮が29日、弾道ミサイルを発射しました。金正恩(キム・ジョンウン)政権下で日本上空を通過したのは初めてのことです。日本では12道県を対象に全国瞬時警報システム「Jアラート」によるミサイル情報が配信されました。日本のテレビ局も通常番組をとりやめ、緊急ニュースを伝え続けたと聞いています。

一方、韓国ではどうでしょうか。朝起きてテレビをつけてみるとバラエティー番組が放送されていました。チャンネルを替えてもなかなかミサイル関連ニュースが入ってきません。午前10時くらいになってからでしょうか、ようやく24時間ニュース番組のYTNや聨合ニュースが運営するケーブルテレビで報道が始まりました。

韓国は一般に、北朝鮮に対する脅威に麻痺しているといわれます。日本の危機意識に対しては「大げさだ」と考えがちです。その一方で、韓国人は震度2程度の地震で大騒ぎするわけですから、在韓日本人からみればとても不思議な感じがします。

ただ、少しずつですが、韓国でも北朝鮮の脅威にどう対応するかの具体的な論議が始まりつつあります。

例えば、北朝鮮との対話のチャンネルを開きたい文在寅(ムン・ジェイン)大統領の政策について、世宗研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)統一戦略研究室長は次のように整理しています。

対話の条件として、核放棄を最初から提示はせず、「核実験とICBM試験発射のモラトリアム宣言(Moratorium)」→「核の凍結(Freeze)」→「核施設の不能化(Disablement)」→「核兵器の段階的縮小」→「核の完全廃棄」の5段階のアプローチを提示しています。

そして鄭氏は、このアプローチをより効果的にするために中国の役割が大きいと指摘しています。

その一方、鄭氏は「北朝鮮の『善意』に依存する政策だけを追求しては困る」と、文政権に釘を刺すことも忘れていません。北朝鮮の非核化が絶望的になった場合には、①韓国の軍事力増強②平和的な北朝鮮の政権交代③韓国の核武装――なども提示。韓国がTHAADを米国から購入して自前で運用すれば、中国の米国に対する安全保障上の懸念は和らぐため、中国は北朝鮮に対して強い制裁に踏み切れるなどの大胆な提案もしています。

前回のコラムでは、英エコノミストなどが、北朝鮮の核能力を認め、それを抑止できる体制作りを進めるよう主張していることを紹介しました。

果たして北朝鮮の非核化は絶望に近いのか。私たちは厳しい現実を直視すべき時に近づいているようです。(H=ソウル在住)

Weekly Voice by UPF

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