「性別違和」の子供たちにとって最善の利益とは

早すぎる医学的処置がもたらすリスクへの認識も必要

性的少数者の人権擁護をうたう「LGBT自治体議員連盟」が昨日6日に発足し、東京都庁で5人の世話人が記者会見を行いました。また、この会見の席上、前田邦博文京区議(51)が自らがゲイであることを公表しました。

彼らは、渋谷区同性パートナーシップ条例のような「先進的な」取り組みを拡大したいとの希望を述べました。しかし、急激な社会変化を求めるとすれば、それに伴うリスクも考慮に入れなければなりません。一方で、ここ数年、日本社会ではLGBTに対する認知が進み、表立って、差別的な言動がとられることもほとんどなくなりました。そろそろ、この「人権運動」について、課題も含め、冷静に議論すべき時期に来たと思われます。

例えば、「性別違和」を抱える人々の性別移行手術の基準を緩和しようという議論もありますが、この問題に関して、非常に考えさせられる記事が、米保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」が運営するウェブメディア『デイリー・シグナル』に掲載されました。この中で「アメリカ小児科医学会(ACP)」のミッシェル・クレテラ会長(※)は、「トランスジェンダー・イデオロギー」が子供たちに与える悪影響について警鐘を鳴らしています。彼女の主張の要点は次のようなものです。


1.「トランスジェンダーは、生まれながらに身体的な性と異なる脳をもって生まれている」という神話は疑わしい。実際に、全く同じDNAを持ち、同じ出生前ホルモンを浴びているはずの一卵性双生児で、2人ともトランスジェンダーを自認する割合は28%に過ぎない。これは、生まれた後の非生物学的要因が、より強くトランスジェンダーの症状に影響を与えていることを意味している。

2.思春期前に「性別違和」を感じている子供のうち、75〜90%は思春期を通過したのちに、自然と自分の身体的な性別を受け入れるようになる。しかし、研究によると、12歳前後で思春期の身体的変化を抑える薬剤を処方された性別違和の子供たちは、その後、100%トランスジェンダーを自認していた。つまり、トランスジェンダーの性別移行に受容的な処置が、かえって、その子供を持続的な性別違和に追い込んでしまうということだ。

3.さらに、こうした性別移行に受容的な文化の影響は、性別違和を訴える子供の増加をももたらした。性自認に関するサポートを行う団体では、2009年以降、英国だけで、性別違和に関する相談が2000%も増加した。

4.12歳前後で思春期阻害剤を処方された子供は、16歳くらいになるとホルモン療法(男児には女性ホルモン、女児には男性ホルモンを投与)を処置される。少女は乳房切除手術を受けるかもしれない。そのうちの何割かは、18歳を過ぎると「下部の手術」、つまり生殖再割り当て手術を受けることになる。しかし、これらの処置が身体的、精神的に大きなリスクをもたらすことは良く知られている。例えば性交差ホルモンの投与は心臓病、高血圧、血栓、脳卒中、糖尿病、がんなどのリスクを高める。

5.思春期の青年は、リスク査定能力が低いことが分かっている。そうした時期に、不可逆的で、生涯にわたって影響を与える性別移行処置を行うことは医学倫理的に非常に問題だ。性別移行肯定のイデオロギーは、広範な「児童虐待」を生み出していると言えるのではないか。


LGBTの人々が、社会的に不当な差別を受けているとすれば、当然、それに対する対処は必要でしょう。一方で、性別違和などについては、まだまだ分からないことの方が多いのが実情です。少なくとも、思春期前の子供たちの性別違和に関しては、早すぎる処置を行うのは問題があると思われます。

自然に、心身の性別が一致した状態になったかもしれない子供が、早すぎる処置によって、持続的な性別違和の苦痛や、性移行処置がもたらす身体的、精神的なリスクに直面するとすれば、「虐待」は言い過ぎだとしても、ある種の悲劇であることは間違いありません。性別違和の子供の最善の利益を考えるなら、こうした事実も、きちんと明らかにすべきでしょう。

LGBTを巡る論議では、このように、不都合なデータや意見には敢えて触れないでおく傾向が見られます。しかし、実際の制度や体制に変化をもたらそうとするなら、客観的な事実に基づいた慎重な判断が必要ではないでしょうか。(O)



※ クレテラ博士が会長を務める「アメリカ小児科医学会(ACP)」は、「アメリカ小児科学会(AAP)」の元会長であるジョセフ・ザンガ博士が創設した、保守派の小児科医、医療専門家の団体です。ザンガ博士は、ゲイカップルの養子縁組支持を決めたAAPの方針に抗議して、ACPを創設しました。2015年現在、ACPには、小児科の医療関係者、約500人が所属しています。

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