文大統領は韓国単独での「自主防衛」の限界認識すべき

学生運動出身者が重用される政権人事にも懸念

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領がトランプ米大統領との首脳会談を終えて帰国しました。韓国メディアは概ね、今回の訪米に対して一定の評価を与えています。何よりも、文氏がトランプ氏とある程度の信頼関係を築けたとみているようです。さらに、文政権が北朝鮮に対して掲げる対話戦略に対して、条件付きではありますが、お墨付きが与えられたと受け止めています。

以前のコラムでも触れましたが、出口戦略のない制裁には限界があります。対話の条件を核放棄と設定するのは現実的だとは言えません。文氏の言うように、まずは核開発の凍結。そして核放棄と2段階でアプローチするのが賢明です。これは米韓首脳会談の直前に来韓し、文氏とも対談した米国の外交専門家、リチャード・ハース外交問題評議会会長も指摘している内容です。

ただ、一つ懸念があるとすれば、文氏がどのレベルでの対話を考えるかです。

ここで金大中(キム・デジュン)元大統領と盧武鉉前大統領の対北朝鮮政策を整理しましょう。

金氏のいわゆる「包容政策(太陽政策)」は南北の平和共存と交流・協力を重視したものでした。これは北朝鮮に「核を放棄させる」というよりも、「核を必要としない」状況を作り出すのが狙いでした。少なくとも対話中には、北朝鮮の挑発行為を抑えるというゴールは果たしました。

盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏の場合は、核問題解決のプロセスを南北の共同繁栄に結び付けた「平和繁栄政策」と呼ばれるもので、金氏よりも「自主防衛」を強く押し出したのが特徴です。韓国がミドルパワーとして、米中、あるいは日中の間で「バランサー(均衡者)」としての役割を果たそうとしましたが、結果的には韓国の国力を過大評価したような内容になってしまいました。

文氏が「対話」を重視するのは、戦略としては間違っていないと思います。ただ、日米中との関係が悪化している状況下で「自主防衛」路線を強く出しすぎると、韓国が東アジアでいっそう孤立を深める結果になりかねません。

文氏の賢明な判断に期待したいところですが、文氏の最近の人事を見ていると、なし崩し的に学生運動出身者で固めようとしていることが気がかりです。(H=ソウル在住)

Weekly Voice by UPF

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