韓国大統領の「親日」「反日」論議は無意味

リアリズムの目で韓国を

日本メディアは基本的に、韓国の大統領を「親日」か「反日」かで議論する傾向にありますが、強い違和感を禁じ得ません。

日本で一般に、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「反日」という位置づけですが、おそらく文氏自身は自身を「反日」とは考えていないでしょうし、そう考えている韓国国民もほとんどいないはずです。例えば、文大統領は首相に全羅南道知事の李洛淵(イ・ナギョン)氏を指名しました。李氏は東亜日報の記者出身で、東京特派員も務めた知日派として知られています。私もこの時ばかりは「文氏による日本に対する配慮ではないか」と思ってしまいました。そこで、そのことを李氏をよく知るA氏に尋ねたところ、「日本人がそう考えたくなるのもよく分かるけれど」と大笑いされました。A氏も日本での駐在が長かった人物です。

そもそも、韓国大統領選で対日政策が候補者間の重要なイシューになることはありません。冷戦後のグローバル化した現在、日韓関係は単独の2国間関係としてではなく、「日米」「日中」「韓米」「韓中」、何より「米中」といった他の2国関係、さらに「日米韓」「韓米中」「日中韓」といったマルチの枠組みとの関連の中で規定されるようになっています。

これまで日韓関係が良好だった時期を分析すると、いずれも大統領の支持率が高かった時期と重なることが分かります。金大中大統領と小渕恵三首相が結んだ98年の「日韓パートナーシップ」が代表的な例です。一方、日韓関係が「過去最悪」と言われた2011〜15年は保守政権でした。つまり、両国関係の良し悪しと、時の韓国政権が保守か進歩(革新)かはあまり関係がありません。

むしろ、文氏が高い支持率を背景に安定的な政権をつくることができれば、日韓関係が改善に向かう可能性は十分あると考えるのが妥当でしょう。文氏が就任直後に特使を派遣したことからも、日本との関係改善の意図はあるとみえます。

もちろん、日本としては文氏の政策について警戒が必要ですが、「文氏=反日」と決めつけるのは早計です。仮に、「反日」だったとしても、少数与党体制の中で文氏が取り得る選択肢は限定的であり、若年層の失業率が高止まりする中、せっかく回復基調にある経済を犠牲にしてまで日本との歴史問題にこだわる余裕もなく、またそのような贅沢も許されないでしょう。(H=ソウル在住)

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