高まる北朝鮮との対話の必要性 出口戦略のない「圧力」には限界

「対話はしなければならない」

新たに発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権の北朝鮮政策に関心が集まっています。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)の両政権で南北首脳会談の実務を担った徐薫(ソ・フン)氏を情報機関のトップに指名し、北朝鮮との対話路線を打ち出しました。それでは、韓国が北朝鮮と対話することは可能でしょうか。

対話は極めて困難な状況ですが、ひとつだけはっきり言えることは「対話はしなければならない」ということです。北朝鮮にもその意思があります。折しも、米ティラーソン国務長官が「(北朝鮮の)レジームチェンジ(体制転換)には関心がない」と発言し、北朝鮮と対話する意図を示しています。参加者や場所、交渉内容などいかなる形式(フォーマット)であれ、対話はしなければなりません。

かつて、李明博(イ・ミョンバク)大統領は「北朝鮮が核を放棄すれば、国内総生産(GDP)が3,000米ドルに達するように援助する」と提案しました。つまり、お金で平和を買おうとしたわけです。しかし、韓国に援助してもらうのは、北朝鮮のプライドが許しません。朴槿恵(パク・クネ)大統領は「北が核開発に固執すれば国際社会からの孤立と自滅が待っている」と威嚇しました。北朝鮮は「どうせ自滅するのであれば、核兵器を作って周囲を巻き込もう」と核開発にいっそう邁進しました。

9年間の保守政権ではっきりしたことは、北朝鮮との対話を絶ったとしても、そこに「出口戦略」がなければまったく意味がないということです。強硬な保守派は圧力を重視し、場合によっては先制攻撃も辞さない構えです。しかし、彼らは先制攻撃が全面戦争に拡大する可能性については触れようとはしません。全面戦争になれば、韓国が崩壊することは間違いありません。北朝鮮のGDPは韓国の40分の1ですが、その「非対称性」が韓国の弱点となります。つまり、戦争になった場合、韓国が失うものはあまりにも大きいわけです。仮に北朝鮮が放ったミサイルがすべて漢江に落ちて、人的な被害がゼロだったとしても、経済への打撃は大きいでしょう。外国人投資家が一気に韓国から資本を引き揚げる可能性もあります。

もちろん、金大中、盧武鉉政権時代の援助一辺倒の北朝鮮政策を踏襲すればいいというものでもありません。ただ、米国の朝鮮半島の専門家の間では、1994年に北朝鮮の核開発凍結を定めた米朝枠組み合意を評価すべきとの意見も出てきているのは事実です。

対話は必要ですが、その対話のゴールを核開発の放棄に置くのか、凍結に置くのかを含めて、文政権は難しい舵取りを迫られるでしょう。また、対話するには、朴政権のかなり奔放な外交によって悪化してしまった日韓、米韓、中韓関係を改善して、対話の雰囲気を醸成していかなければなりません。(H=ソウル在住)

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