韓国大統領選挙を予想する 2

「シャイ保守」の動向が鍵?

韓国の大統領選挙戦も5月9日の投開票まで残り10日あまりとなりました。今回のコラムは前回(4月9日付「韓国大統領選挙を予測する」)の続きです。

韓国ギャラップが4月25〜27日に行った世論調査では、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補が40%と、2位の中道野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補に16ポイントの差をつけて支持率トップの差を維持しました。3位は、与党「自由韓国党(旧セヌリ党)」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補で12%。「共に民主党」よりも進歩(革新)的な「正義の党」の沈相ジョン(シム・サンジョン)候補が7%で、4位。保守系第2党「正しい政党」の劉承ミン(ユ・スンミン)候補は4%で、5位でした。文候補と安候補の2強体制から文候補の1強体制となり、もはや勝負あったかのような印象も受けます。

■保守のジレンマ

では、文候補を急追していた安候補は、なぜ急に支持を失ったのでしょうか?

そこには「保守勢力のジレンマ」があります。一時は、北朝鮮に融和的な文候補の勝利を阻止するために、保守票が中道の安候補に流れました。しかし、安候補が属する国民の党は共に民主党からの離党者が多く、北朝鮮に融和的な「太陽政策」を推進した、金大中政権で秘書室長を務めた朴智元(パク・チウォン)氏が院内代表を務めているため、一枚岩になっていないとの見方が強くありました。そのため、保守層の間では次第に「保守としてのアイデンティティーを喪失する懸念」が表面化。現在は、目先の利益を優先して「打倒文」で安候補に投票するよりは、今回の選挙は大敗しても次を見据えて「保守としてのアイデンティティーを守るべき」という流れとなり、安候補の支持率低下につながったとみられます。

■鍵を握る「シャイ保守」

それでは、文候補は勝利をほぼ手中に収めたのでしょうか?

実は、まだ中道や保守にも可能性が残されています。それはこれまで、朴槿恵(パク・クネ)氏のスキャンダルで逆風にさらされているため、これまで「保守支持」を公言できなかった「シャイ保守」と呼ばれる層が選挙戦終盤で支持政党を表明すると見られているからです。

シャイ保守には1965年以降に生まれた「ポスト・ベビーブーマー世代」が多く、ある程度の社会的地位もあることから安保に対する危機意識も高いと言われます。これまで世論調査上に現れてこなかった浮動層と位置付けられています。

ただ、シャイ保守が自由韓国党の洪候補を支持するとは考えにくいようです。なぜながら、自由韓国党に対して、父親世代の「古くて権威主義的な保守」というイメージが強いからです。逆に、朴前大統領に反発し、与党セヌリ党を離党した議員が参加した「正しい政党」は、父親世代からみれば「裏切り者」の立場。そのような雰囲気の中では、劉候補支持は公言しにくい面があります。

逆に安候補はシャイ保守層を取り込めば勝機が見えてくるかもしれません。

米大統領選では「シャイトランプ」が現れ、トランプ氏の逆転劇を陰で支えました。韓国大統領選挙でも奇跡は起こるでしょうか。(H=ソウル在住)

Weekly Voice by UPF

「Weekly Voice by UPF」は、国連NGOであるUniversal Peace Federation Japan(以下、UPF-Japan)が、国内外の政治、経済、社会および文化について、UPFが推進する平和大使運動の視点から問題提起を行うウェブメディアです。 ※なお、ここで発表された内容はあくまで筆者個人の見方であり、必ずしもUPFの公式見解ではありません。