「家庭教育支援法」に対する不毛な批判

連日、国会審議は森友問題一色になっている感がありますが、安全保障など、山積する国家的課題を脇において、この問題だけを執拗に取り上げる野党の姿勢には批判の声が上がっています。実際、今国会では、様々な重要法案が審議されることになっており、その中の一つが、自民党が成立を目指す「家庭教育支援法」です。

この法案は「家庭をとりまく環境が変化している」という現実的な問題意識から出発しています。本来、家庭教育は、基本的な情操を育て、生活習慣を身に着けさせるなど重要な役割を担ってきました。しかし現在では、祖父母との同居も減り、共働きや一人親など、家族で過ごす時間が減少する中で、十分にその役割が果たされなくなってきました。そうした中、この法案には、家庭教育を担う保護者のために、相談体制を整備したり、学習機会や情報を提供するなど、サポートを充実させるという狙いがあります。

しかし、この法案に対して、左翼系の学者、メディアなどが、一斉に「国家による私的領域への干渉」であり、「戦前回帰」だと反発しました。

例えば、2月25日付東京新聞では「戦時家庭教育指導要綱とよく似ている」「国家を構成するのが個人でなく家族と言う考えで、憲法24条と真っ向から対立する」(清末愛砂室蘭工業大学准教授)、「『国家及び社会の形成者』を育成したいという狙いは変わっていない」(二宮周平立命館大学教授)、「国や自治体だけでなく、学校や保育所、地域住民などありとあらゆるものが家庭教育の支援プログラムに組み込まれようとしている。家族の形を強いようとするのか。まさに戦前回帰だ」(山口智美モンタナ州立大学准教授)など、思想的に偏った意見ばかりが紹介されました。

こうした学者の方々は、核家族化が進み、地域とのつながりも薄れる中で、子育てが孤立し、貧困や虐待など深刻な問題の温床となっていることをどれだけ理解されているのでしょうか?また、家庭教育の不足などにより、公立小学校では1年生の教室の約2割で授業が成立していないという現実もあります。未来を担う子供たちを健やかに育てるためにも、孤立する傾向にある保護者を社会全体でサポートする仕組みを整えることが急務なのです。

しかし、残念なことに、こうした反対の声を受けて、素案からいくつかの重要な文章、語句が削除されてしまいました。例えば「社会の基礎的な集団である家族」「国家及び社会の形成者として必要な資質」を育てる、といった内容です。

前者について言えば、世界人権宣言第16条に「家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する」と明記されているように、世界のほとんどの国の共通認識です。また、後者についても、教育の目的は、個人の自己実現に加え、より良い社会や国家、更には平和な世界の形成者を育てることにもあるはずです。しかし、こうした当然のことすら、個人と家庭、あるいは国家を対立させる左翼思想の立場からは、排除すべき危険な思想とみなされてしまうのです。

今回の家庭教育支援法を巡る論争は、現実の問題解決を度外視し、偏狭なイデオロギーに固執する左翼系学者、メディアが持つ偏向性と限界を、改めて浮き彫りにしたと言えるでしょう。(O)

Weekly Voice by UPF

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