朴氏弾劾を通じて考える、韓国の国のかたち

韓国の憲法裁判所が朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾を認めました。韓国憲政史上初めての出来事で、保守、進歩(革新)を問わず、たくさんの韓国人から「俺たちの民主主義はすごいだろう」と自慢されました。韓国人同士は「おめでとう」とあいさつを交わしました。これらの体験を通じて、日韓の民主主義に対する認識の違いについて考えざるを得ませんでした。

朴氏の辞任を求めた韓国人は「正しい民主主義を取り戻す」と主張しました。一体何が「正しい」のか判断するのは難しいところですが、ヒントはいくつかあります。例えば、韓国人は日本人に「正しい」歴史認識を求めます。なぜならば、日本人によって自分たちの歴史が「歪曲された」とみているからです。ここでの韓国人は、日本に侵略されなかった場合にこうなったであろう歴史の話をすることが多く、事実を話しているわけではありません。

民主主義にも同じことがいえるでしょう。

韓国人は民主主義について、軍事独裁政権と戦いながら自らの力で勝ち取ったものとの意識が強烈にあります。その民主主義が朴氏が長年の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入を許してしまったことで「歪曲されて」しまったわけですから、朴氏から民主主義を取り戻して、歪曲される前の状態に戻さなければならないという理屈になります。

また今回の弾劾騒動で、「韓国は法よりも民意を優先する」、「韓国は法治国家ではなく情治国家だ」との認識を強くした日本人も多いと思います。しかし、弾劾の制度趣旨を考えると、韓国の憲法裁判所が民意を意識した政治的判断を下すのは、ある意味当然です。

例えば、議院内閣制の日本なら、支持率が1桁台になれば内閣の総辞職は避けられないでしょう。しかし、大統領制の韓国で大統領を辞めせるためには、国会が弾劾訴追し、憲法裁判所がそれを認定するという方法しかありません。となれば、憲法裁もある程度は民意を反映せざるを得ない立場ということになります。憲法裁は今回、弾劾を認定するにしても、棄却・却下するにしても、判事全員一致の判断になる予定だったという話があります。社会の混乱を最小限に抑えるためには、これしか道がなかったのでしょう。

改めて感じるのは、日本と韓国の国のかたち(Constitution)の違いです。

米国や中国と同じように、韓国はあくまでも外国です。ですから韓国を論評する上では、米国や中国の場合がそうであるように、韓国人や韓国社会に内在する論理をしっかりと把握することが大切だと思われます。(H=ソウル在住)

Weekly Voice by UPF

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