欧州のポピュリズム台頭、背景に政治不信と移民・難民問題、テロへの不安

昨年来、ブレグジット(英国のEU離脱)やトランプ氏の米大統領当選など、“想定外”の出来事が重なり、欧米社会に広がるポピュリズムが大きな話題となっています。

特に欧州では今年、フランス大統領選などが控える「選挙イヤー」となるため、極右をはじめとするポピュリスト政党がどの程度躍進するのか、不安とともに注目されています。現在、欧州では脱EUや移民排斥などの過激なスローガンを掲げるフランスの「国民戦線」、ドイツの「AfD(ドイツのための選択肢)」、オーストリアの「自由党」などが、その代表格ですが、どうして、彼らの主張が支持を広げているのでしょうか。

大きく2つの要因があります。1つは経済不安からくる政治不信であり、もう1つはテロの続発や難民の流入による異文化への不安と恐怖です。

まず「経済不安と政治不信」について。2008年の金融危機に端を発する長期的な景気後退が、ギリシャのデフォルト(債務不履行)や、周辺各国の雇用不安や格差の拡大を招きました。しかし、この経済危機に対し、地域の重要政策の決定権がEUに握られていたことや、各国政府も緊縮財政など不人気な政策の責任をEUに押し付ける傾向がありました。

こうした状況に、国民は自分たちが選んだ議会や政府ではなく、EUの官僚機構に自分たちの生活を牛耳られている感覚になります。さらに、EUに加盟することで人の流れが自由になり、比較的賃金が低い旧東欧諸国から英独などに労働力が流入し、雇用が奪われるという不満も生まれてきました。

こうした国境をコントロールする権限の喪失もEUへの不満材料となっているのですが、これに拍車をかけたのが、2番目の要因です。パリやブリュッセルなどで相次いだイスラム過激派のテロは、同時期に急増した中東地域からの難民問題とあわせて、異文化の侵入への不安と恐怖心を煽りました。従来から、少子高齢化で衰退する一方の白人社会にとって、出生力が旺盛な移民の存在は大きな脅威だったのですが、それが顕在化した形になります。

これらの不満や不安の標的となったのが、グローバリズムの象徴であるEUや、EUを支持する既存の政党、政治家であり、移民、難民だったのです。

しかし、他者を非難することは一時的な興奮につながるかもしれませんが、不毛な対立と混乱を生み出すだけです。ポピュリスト政党が、経済問題や移民の統合などに、真に責任を持つ政策を打ち出せるのか、それとも、既成勢力や新しい世代から、欧州が抱える諸問題を解決する真に有能な指導者が現れるのか、各国の選挙結果が注目されます。(O)

Weekly Voice by UPF

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